紙の本はなくなる?紙の本の未来を考える
2022年3月31日
紙の本はなくなる?紙の本の未来を考える
手軽な電子書籍が人気の中、紙の本はこの先どうなっていくのでしょう?
紙の本の未来について考えます。
電子書籍の台頭
インターネットの普及とメディアの多様化によって、読書の形も変わってきました。
今まで読書といえば、何十ページ、何百ページもあるような
紙のページを1枚1枚めくりながら読むものでした。
電子書籍とは、スマートフォンやタブレットの端末によって読書ができるものです。
日本ではそれらの端末を一人一人が1台を所持するようになった2010年あたりから比例して電子書籍を利用する人が
増えてきました。現在では、新聞や雑誌を含む出版物の売り上げが伸び悩む出版不況時代といわれています。
一方で電子書籍は年々売り上げを伸ばしてきています。
なぜ電子書籍なのか
電子書籍を選ぶ人が増えた理由にはどんなことが考えられるのでしょう。
電子書籍の特徴を見ていましょう。
〇小さい、軽い、かさばらない
電子書籍を読むための端末が1台あれば、何十冊の本でも持ち歩くことが可能です。
常に持ち歩くことのできる本棚といえるでしょう。
少しの時間でも、パッと取り出せてさっと読み始めることができます。
小さく軽いスマートフォンは、バッグから本の出し入れをするよりも簡単に読書ができるのです。
タブレットは小説などよりも大きいサイズになってしまうので、
出先ではなく家でゆっくりと読書を楽しむ時間に利用する人が多いようです。
〇その場で購入
例えば、TV番組やSNSで話題となっている本を見かけて、どうしても購入したいと思ったとき、
会社勤めで忙しい方など、書店へ寄る時間が無い方も多いはずです。
ところが電子書籍では、場所や時間を選ぶことなくその場ですぐに購入し、自宅まで届けられます。
このような手軽さも電子書籍ならではの特徴といえます。
〇自分だけのコレクション
電子書籍の本棚は、自分好みに保管することができます。
コミックだけを集めた本棚や、SF小説の本棚など、カスタマイズが可能なことが多く、
自分だけの書庫をもつことが可能です。これを実際の本棚でやろうとすると、たくさんのスペースと本棚、
加えて重労働がつきもの。それが指一本でできてしまう便利さは他にないでしょう。
〇さまざまな機能
電子書籍にはさまざまな機能がついています。しおりなどの機能はもちろんのこと、
マーカーで線引きもできます。さらには、自動でページをめくってくれる機能や文字からページを検索する機能、
読み上げ機能や、オーディオブックなどもあります。
便利機能が盛りだくさんです。それらの機能を使いこなすことができれば、
今までの読書の風景は大きく変わります。
〇少し安い
紙の本より少し安く買えるのも電子書籍の特徴です。
電子書籍を購入したことがあるひとは知っているかもしれませんが、
紙の本より少し値段が安いのです。それは再販制度という紙の本に課せられる縛りが電子書籍では該当しないから。
クーポンなどが利用できるのも電子書籍の特徴です。
これだけ便利なら、紙の本はもういらないのでは?と思ってしまいます。
それでもいま現在、紙の本に需要があるのには理由があります。
◎紙の本はなくなる?
このように便利で手軽な電子書籍の需要が高まってくると、紙の本はいずれはなくなってしまうのでしょうか?
全てが電子書籍になると、書店がなくなったり、本を収納するための本棚なども売れなくなるでしょう。
本の数は減り、希少価値が高まることで価格が上昇するかもしれません。
電子書籍を超えるような付加価値を求めるひとが高価な本を購入するような時代となるのでしょうか。
そして古本買取店は増えると考えられます。行き場を失った紙の本たちを買い取ってくれるためです。
ところが電子書籍が盛り上がりを見せる中で、紙の本は今も健在です。
そして欧米では、ここにきて紙の書籍が売り上げをのばしているという事実もあります。
紙の本がなくならない理由があるのです。
端末をもたないひとたち
高齢者の読書家の中には電子書籍などをよむための端末を持たない人たちもいます。
電話やメールができる携帯電話は持っていてもスマートフォンは少し難しいという人も少なくはありません。
そのような人たちが読書をするには、紙の本が必要です。
行きつけの書店で顔なじみの店主とコミュニケーションをとりながら本を購入することも楽しみのひとつとなります。
紙の匂いやページをめくる感覚
電子書籍では味わうことのできないあの独特の紙の手触り、紙の匂い、
ページをめくる感覚などは紙の本の特徴です。
それこそが本を読んでいるという実感だという読書家は多いものです。
紙に触れていることで、より集中して本を読むことができる環境になるというのは誰でも共感するのではないでしょうか。
専門書の存在
電子書籍で最もシェアを占めているのは、日本ではコミック、欧米では小説といわれています。
ビジネス書や専門書の電子書籍化はされているものの、実際に読んでいる人は少ないようです。
それらは、紙の本のほうが信頼性があると考えられているからです。
特に専門書は、大学の教科書代わりに使用されることもあり、多くの学生が専門書を買い求めている事実があります。
◎紙の本の未来とは
この先の紙の本はどうなっていくのでしょうか。
紙の本よりも安く買うことができ、
たくさんの機能で便利、さまざまな特徴を持ち合わせている電子書籍に紙の本はかないません。
紙の本が生き残るためには、紙の本のいいところを大切にしながらも、
さらに紙の本ではなければならないという特別な価値が必要なのかもしれません。
また電子書籍とうまく共存していくことで相乗効果を得ることができます。
無料立ち読みなどが可能な電子書籍で読んでみた本がおもしろかったので、
ぜひ紙の本で購入したいという例があるように、紙の本ではできない部分を電子書籍に任せ、
そして紙の本にしかできない部分を最大限に活用することが紙の本の未来に重要なことといえるでしょう。
◎まとめ
紙の本はいま現在も多くの需要があります。しかしこの先は減っていってしまうかもしれません。
紙の本がまだある未来のためには電子書籍との共存、そして紙の本の特別感が重要となるでしょう。
そしてなによりも読書を楽しむ人たちがどのようなスタイルを求めているのか、
紙の本と電子書籍のそれぞれのいいところを知り、本の読み分けができるようにすることで紙の本を残していくことが
できるのかもしれません。
読書を楽しむ人たちにとって、電子書籍と紙の本、どちらも必要であるような未来になるといいと思います。