岩波少年文庫のおすすめ5選/2022年版
2022年9月8日
岩波少年文庫のおすすめ5選/2022年版
長い歴史のある岩波少年文庫には魅力的な作品がたくさんあります。
今こそ気になるあの名作を読んでみませんか?
岩波少年文庫とは
岩波少年文庫は、日本の出版社で岩波書店が出版している児童文学のことをさします。
現在は文庫の対象年齢を小学生向け、中学生向けの2種類に分けています。
それぞれ対象年齢別に背表紙が色分けされている小B6判の文庫を一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。
〇ピンク系の背表紙 : 小学生〜(表紙裏のあらすじ部分の「小学3、4年生以上」といったような適正対象学年が記載されています。)
〇ブルー系の背表紙 : 中学生〜
〇シリーズものには特別な配色が用いられる。
また、001〜199番が小学生向け、501〜699番が中学生向けと、作品番号が割り当てられています。
岩波少年文庫のあゆみ
2020年に創刊70周年を迎える岩波少年文庫。これまでの歴史をみていきましょう。
〇1950年
12月25日 岩波少年文庫創刊。
終戦から5年経ち、新たな時代を生きる子どもたちのために石井桃子さんを中心に、
世界の名作を続々刊行しました。
初回の刊行はスティーブンスン「宝島」、ウェブスター「あしながおじさん」、ディケンズ「クリスマス・キャロル」、ハムズン「小さい牛追い」、ケストナー「ふたりのロッテ」の5冊でした。
丁寧な翻訳と手に取りやすい価格にこだわった当時の装丁はソフトカバーとなっています。
〇1954年
ハードカバー化。
公共図書館や学校図書館からの要望を受けて、ケースまでしっかりした厚紙で作られました。
〇1961年
12月16日 第1期(全100点、121冊)、第2期(全72冊)合計193冊の刊行が完了しました。
その後は1973年まで岩波少年文庫の新刊活動は休刊となりました。
その間は児童書の単行本および、岩波少年少女文学全集全30巻(1960〜1963年)、
個人全集の刊行に力が入れられていたようです。
〇1967年
創刊以来の装丁を一新。1冊1冊の個性を打ち出したイラスト入りの表紙、
函入のハードカバー版になりました。
〇1974年
第一次オイルショックによる物価高騰の影響を受け、
ソフトカバーの軽装版で新刊活動を再開しました。1983年までに全68冊が刊行されました。
〇1985年
創刊35年を迎えたこの年に現在の4色刷りのカバーをかけたソフトカバー新装版が発行されました。
表紙を一新するとともに、読者対象の目安として背表紙をピンク(小学生中級〜)、黄色(小学生上級〜)、水色(中学生〜)の3種類に色分けされました。
その後、1991年までに全51冊が刊行された。
〇1990年
創刊40年を迎えます。ウィリアム・モリスの壁紙をあしらった特装版(全30冊)を刊行します。
1995年には創刊45周年を記念して新刊の刊行を再開し、これ以降は新刊の刊行を継続しています。
〇2000年
創刊50周年となり、左右の幅を7mm広げた新しい判型が採用されることとなりました。
背表紙をツートンカラーにリニューアルして
読者対象やシリーズ作品ごとに色分けしました。
〇2010年
創刊60年。アンケートに基づき18冊を復刊。
「宮崎駿が選んだ50冊の直筆推薦文展」が全国を巡回しました。
〇2020年
創刊70年を迎えました。
「冒険してる?」をキャッチフレーズに、子どもとかつて子どもだった人へ少年文庫で冒険してみよう!とよびかけています。
はじめて見る風景、はじめて出会うだれか、はじめて味わう気持ちなど、読む者を夢中にさせ、成長をさせてくれる
すてきな冒険の物語が少年文庫にはたくさんあります。
なぜ岩波少年文庫は人気なの?
岩波少年文庫を知らない人でも、学校図書館や公共の図書館、書店などで手に取ったことや見かけたことはあるかもしれません。
なぜ岩波少年文庫はこんなにも浸透しているのでしょうか。
♦歴史がある
岩波少年文庫は2020年に創刊70年を迎え、長い歴史があります。戦後の日本で子どもたちのためにたくさんの文庫を刊行してきました。
そのような歴史から児童文学といえば岩波少年文庫といった印象があります。
♦子どもだけでなく大人も楽しめる文庫
子供から大人まで楽しめる名作ばかりがそろう岩波少年文庫では、未来を担う子供たちにも、ぜひ読まれ続けてほしいという思いがこめられています。
子どもと一緒に読書を楽しみたいという大人にもおすすめです。
また、難しいと感じられるような世界の名作を気軽に読みたいという人向けともいえます。
♦世界の児童文学に触れることができる
夏目漱石の「坊ちゃん」を始めとする日本文学から、世界各国の児童文学作品まで、
その素晴らしさを長年に渡り伝えるべく多数出版してきました。
全国各地の書店や図書館の児童文学コーナーには、岩波少年文庫から出ている本が並びます。
子どもでも理解しやすい翻訳とわかりやすい表現で読みやすい点が特徴です。
全国の図書館などで岩波少年文庫が採用されるには上記のような理由があるのです。
岩波少年文庫のおすすめ5選
子どもから大人まで楽しむことができる岩波少年文庫では、どのような文庫が人気となっているのでしょうか。おすすめの文庫を紹介します。
『モモ』
ミヒャエル・エンデ (著, イラスト) 大島 かおり (翻訳)
児童文学の第一人者ミヒャエル・エンデの作品です。町はずれにある円形劇場に住み着いた、身寄りのない少女モモのお話です。
彼女に悩みを聞いてもらうといつの間にか解決するとして、街の人たちにとっては貴重な存在となっていました。住民たちはモモと会話
をしながら、信じることや空想を広げることを通して人間としての豊かさを取り戻していきます。時間を奪う灰色の男たちによって
騙され余裕のない生活をするようになってしまった住民たちの時間を取り戻すためにモモはたちあがります。
『ライオンと魔女』
C.S.ルイス (著)、ポーリン・ベインズ (イラスト)、 瀬田 貞二 (翻訳)
ナルニア国物語として映画化もされたこちらの作品は世界三大ファンタジーのひとつ称されています。
人間の言葉を話す動物たちや妖精が登場して神秘的で壮大なスケールの冒険を楽しめる一冊となっています。
4人の兄弟が正義のライオン、アスランと共に悪い魔女と闘う物語です。
ドキドキする展開に本の世界へと引き込まれます。
『星の王子さま』
サン=テグジュペリ (著, イラスト)、内藤 濯 (翻訳)
サハラ砂漠に不時着した孤独な飛行士と、
「ほんとうのこと」しか知りたがらない純粋な星の王子さまとのふれあいを描いた不朽の名作です。
生き方や考え方、物事の捉え方、など優しい哲学書を読む感覚で大人になっても何度も読み返したくなる作品です。
『クマのプーさん』
A.A.ミルン (著)、 E.H.シェパード (イラスト)、Alan Alexander Milne (原著)、石井 桃子 (翻訳)
WaltDisneyのキャラクターにもなっているプーさんのお話です。
イギリスの詩人が幼い息子のために書いたファンタジーな作品です。
クリストファー・ロビンががプーさんやおもちゃの動物たちとくり広げる冒険を描いています。
挿絵に定評があるため、子どもと一緒に楽しんでみるのもいいかもしれません。
『ドリトル先生 アフリカゆき』
ヒュー・ロフティング (著), 井伏 鱒二 (翻訳)
シリーズ作品の1作目です。
一人ではできないことを、みんなの力を合わせて可能にしていく冒険物語です。
名医ドリトル先生は、オウムのポリネシアから動物語を習い、世界中の動物たちの言葉を理解します。
アフリカのサルの国の疫病を救うために犬のジップたちと冒険の航海に出発します。
まとめ
岩波少年文庫は読みやすく翻訳されているものばかりで、小学生からでも読みやすい作品が多いです。
映画化されたものやテーマパークのキャラクターとなっているものなどさまざまです。
価格も手ごろとなっているため、シリーズで揃えるのもいいかもしれません。
ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね♪