医学は、人々の健康を維持するのに不可欠なものですが、この医学には東洋医学と西洋医学があります。
体の不調などが起きると、西洋医学に頼るのが一般的です。
それは、普通の病院が西洋医学に基づいた治療をするからで、病院の数が多いために、病気になれば病院に行き、西洋医学の療法で治療を受けます。
西洋医学の療法は、主に投薬と手術によって行われます。
これに対して、東洋医学は鍼灸に代表されるように、病気の原因を気の滞りととらえて、経絡の流れをよくすることで病気を改善します。

西洋医学では、たとえば胃が悪ければ、ピンポイントで胃の治療をするでしょう。
しかし、東洋医学では体全体の気の流れを調整して健康な体を作り、結果的に胃が治るようにします。
このように、西洋医学と東洋医学では、病気に対する考え方がまったっく違うのです。

東洋医学では、人間の健康には「気・血・水」が大切だと考えています。
気とは人体を流れるエネルギーのことで、あらゆる生命活動の源ととらえられています。
血とは血液のことで、水はリンパ液などの血液以外の体液を指します。
この気・血・水が十分に体内をめぐっていれば、人は健康であるというのが東洋医学の考え方です。

病気は、この気・血・水のバランスが崩れた状態で、特に気のめぐりが悪くなるとそこに病変が現れると言うのです。
特に五臓と呼ばれる「肝」「心」「脾」「肺」「腎」という、5つの臓器に気をめぐらせることが、健康のためには大切なのです。
東洋医学には数千年の歴史と叡智があり、これを極めるには、最先端医療の西洋医学を修めるのとは違った難しさがあります。
東洋医学では、鍼灸のほかに漢方薬や生薬も使いますが、漢方薬や生薬に関する書物だけでも膨大な量があります。